お問い合わせ

お名前 (必須)
メールアドレス (必須)
件名
質問やコメント内容
プライバシーポリシーをご確認
 同意する
適合ライティング

JUST COPY

マーケティングゴールに向けた
全体最適化に適合するライティング研究

オープンイノベーション時代の製造業に求められる広報の役割〜3社の事例に見る〜


ICTテクノロジーの進化は企業コミュニケーションの手法に影響を与えるばかりか、既存のビジネスモデルにも大きな変革をもたらします。その傾向は、大手メーカーの垂直統合型生産体制に組み込まれていた日本の製造業において特に顕著であり、社会とともに新たな価値を共創するオープンイノベーションの時代を迎えています。

ここでは、幅広いステークホルダーを対象にエンゲージメントの見直しが迫られる製造業にスポットを当て、広報セクションが目指すべきコーポレート・コミュニケーションのあり方について具体的に考えていきます。

クローズドからオープンへの発想転換を迫られる製造業の広報

データを「アジャイル開発」や「リーンスタートアップ」へと活用する「IoT(Internet of Things)」技術を成立させました。

これに基づき、米国ゼネラル・エレクトリック社は自社製品に組み込まれたセンサーから発信されるデータをベースにユーザに最適なパフォーマンスとサービスを実現する「インダストリアル・インターネット」を推進し、ドイツでは国内の主要生産施設と個人経営のスモールファクトリーをネットワークで結んで自国製品の競争力を高める「インダストリー4.0」を国家規模で展開しています。

3Dプリンタに象徴されるデジタル技術の進化は、高品位な技術に特化して受託生産を行うファウンドリメーカーと企画開発に集中して高品位なプロダクトを実現するファブレスメーカーとの分業体制を発展させ、ユーザーがメーカーから公開された設計データをダウンロードしてカスタムモデルの製品づくりを愉しむ「メイカームーブメント」の潮流が世界を席巻しています。世界中の“個性あるメイカー”から発信される優れたアイデアは、それに共感する事業家から幅広く資金を募る「クラウドファンディング」や「Fintech」などの金融システムの進化も促しました。

もはや、ものづくりのアーキテクチャーは、技術、人材、資金、ビジネスプランといったR&D(Research and Development/研究開発)に必要なリソースを組織の外部から幅広く調達するオープンイノベーションの時代へと大きく転換しています。当然、製造業のステークホルダーの位置づけも従来の顧客、従業員、取引先・仕入先、投資家といった固定された関係性では規定できないものと変化しています。

オープンイノベーション時代のステークホルダー・エンゲージメント

オープンイノベーションは、ハーバード・ビジネススクールのヘンリー・チェスブロウ助教授によって提唱された「組織の内部と外部のアイデアや技術を有機的に結合させ、新たな価値を創造する」試みです。

この考え方に基づけば、自社内で確立した技術や垂直統合型生産体制内のリソースのみに頼るクローズドな開発生産環境下でのコミュニケーションのリーチを見直し、オープンイノベーションを前提に幅広いステークホルダーとのエンゲージメントの確立に積極的に働きかけていくことが、広報セクションに求められることになります。

①顧客;発注元企業への価値提供から社会的価値の創出へ

従来、製造業の技術広報は顧客メーカーもしくは垂直統合型生産体制内の企業に対する自社技術の開示に重点が置かれていました。これに対しオープンイノベーションは、さまざまな専門領域の技術者が関与して未来においてキーとなるテクノロジーを集中的に研究し、実用的なソリューションの実現を目指します。過去の技術成果の開示よりも現在取り組むR&Dの社会的な価値提示に重点を置いた広報へとシフトすることが求められています。

②取引先(仕入先);競合会社も含めて価値を共創する時代に

オープンイノベーションは、自社が確立・蓄積した技術やリソースを、取引先や仕入先さらには同じ課題に取り組む競合他社の技術者をも含めて、互いに交流・融合させることによって再活性化し、新たな価値を創出していく取り組みです。自社のR&D機能の位置づけを「競争に勝ち抜くためのラボ」から「共創のためのプラットフォーム」へと改め、幅広いパートナーに向けての情報発信を行う必要があります。

③従業員;組織内部の技術交流を促進するコミュニケーションの再構築

組織内部のオープンなイノベーション環境の構築も、広報セクションの重要な役割となります。部署や事業ごとに完結された開発プロセスを横断的に交流させる組織体制の再構築は必須課題となります。自社事業とは異なる分野に関わる中途・新規採用対象者をも含めてインナーコミュニケーションの強化を図り、自社が確立・蓄積する技術の再活性化を促すことが重要です。

④株主・投資家;社会的価値を重視する投資家層へのアピール

クラウドファンディングやFintechなどの金融システムの発達により、潜在的な投資家層が拡大しています。新たに加わる投資家層は、従来の投資家のようにキャピタルゲインや財務的価値のみを追求せず、むしろ事業への共感性や社会的価値から投資判断を行います。IR(Investor Relations)においては、ESG(環境・社会・ガバナンス)情報の適正な開示を重視し、企業への共感性を高めていく必要があります。

⑤社会全般;産学連携も含め社会全般との価値共創を

「組織の内部と外部のアイデアや技術を有機的に結合させる」オープンイノベーションは、コーポレート・コミュニケーションの対象者を社会全般へと拡大していきます。産学連携は必須となることから大学の研究室や一般研究者との情報交流は言うに及ばず、自社製品・サービスのエンドユーザーや自社技術領域の専門家、オピニオン・リーダーからの意見にも積極的に耳を傾けていくことが大切です。

いずれのステークホルダーと向き合うにせよ、オープンイノベーションの視点に立てば“いかに対象とするステークホルダーとリソースを融合し、社会に新たな価値を創造する”かが問われることととなり、CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)が目指すところと狙いを同じくすることがおわかりいただけると思います。

“新たな価値の共創”をテーマにする広報戦略の展開

製造業の広報展開のベストプラクティスとして、オープンイノベーションを前提にステークホルダー・エンゲージメントを発展させた好事例を紹介します。

①株式会社 村田製作所;インナーコミュニケーションの強化により技術交流と価値共有を促進

村田製作所では、既存のライン組織とは別にテクノロジーセル(TC)と呼ばれる要素技術別組織体制を構築し、社内のオープンイノベーションを推進。また、自社HP内でも企業情報ページとは別に「ムラタについて」というページを設けて、創業者の理念を漫画で紹介するコーナーや同社の特化技術を集約したムラタセイサク君ロボットの紹介映像を流すなどの積極的な取り組みにより、社内外のステークホルダーと「エレクトロニクス産業のイノベーションを先導していく存在でありたい」という創業理念の共有を図っています。

*村田製作所コミュニケーションページ「ムラタについて」
http://www.murata.com/ja-jp/about?intcid5=com_xxx_xxx_cmn_nv_xxx

②Procter & Gamble Company(P&G社);オープンイノベーションの旗手としてのステイタスを確立

世界的な日用消費財メーカー・P&G社では、「コネクト・アンド・デベロップメント(つなげる+開発する)」をコンセプトに、全産業に先駆けてオープンイノベーションを推進。競合他社や異業種、外部研究機関、製造委託会社、サプライヤーの技術者や販売パートナーなどとともに、新製品開発やマーケティング手法の改革に取り組んでいます。その成果となる「すぐれた品質と価値をもつ製品とサービス」は、自社HPの「イノベーション」ページにて、同社のオープンイノベーションに対する積極的な姿勢とともに公開されています。

*P&G社のオープンイノベーションの考え方
http://jp.pg.com/innovations/open_innov.jsp
*P&G社のオープンイノベーション事例集
http://jp.pg.com/innovations/index.jsp

③WHILL 株式会社;投資家の共感性を高めるPR戦略で資金を獲得し事業を発展


WHILL株式会社は、次世代のパーソナルモビリティを創出するために日産やソニーのエンジニアたちが創設したベンチャー企業です。利用者の負担を極限まで抑えた電動車いすの開発に取り組む同社では、「車いすユーザーから始まるパーソナルモビリティ」をテーマに投資家や起業支援機関に対して積極的なPR戦略を展開。クラウドファンディングサイト「キャンプファイヤ」をはじめとする多くのファンドからの資金調達を受けてコンセプトモデルの量産化を実現し、米国でのレンタル開始まで事業を発展させています。

*クラウドファンディング「CAMPFIRE」のWHILL社アピールサイト
https://camp-fire.jp/projects/view/101

オープンなコミュニケーションがCSVを加速する

豊かな未来を切り拓き、持続可能な社内を実現するインテリジェンス・エンジンとして機能します。その働きを活性化させる潤滑油の役割を担う広報セクションには、より多くのステークホルダーと価値を共有するオープンなコミュニケーションの先導役を果たすことが期待されています。

皆さまのファクトリーがいち早く「共創」のためのプラットフォームを構築し、次世代に誇りある共有価値を見出されることを願ってやみません。


Written by matsumura(Belongs to Just Creative)