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適合ライティング

JUST COPY

マーケティングゴールに向けた
全体最適化に適合するライティング研究

ブランド広報の核となる「コアバリュー」〜J&J社の事例に危機管理対応を学ぶ〜


価値共創の時代にはステークホルダー・エンゲージメントの構築・維持・発展が重要な課題となり、広報セクション(企業コミュニケーションを司る者)の役割は、それに積極的に働きかけるものへと大きく変わります。

今回は、自社の企業価値をステークホルダーと共有し、エンゲージメントを発展させた企業がどのように社会の中での存在感を高めていくか。その最もわかりやすいベストプラクティスを通して、企業が目指すべきCSV(共有価値の創造)のあり方について考えていきます。

ステークホルダーとの信頼関係を紡いだJ&J社の危機管理対応

Johnson & Johnsonグループ(以下、J&J社)は、“人々のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上”を目指し、安全性の高い良質な医療用医薬品・医療機器やホームプロダクトの提供により世界の人々の健康を支えるグローバル企業グループです。同社が提供する一般用医薬品「タイレノール」は優れた緩痛・解熱効果を持ち、全世界での年間売上高が10億ドルにも上る鎮痛剤のトップブランドとして知られています。

1982年9月。この「タイレノール」に何者かがシアン化合物を混入し、シカゴ近郊のイリノイ州・エルクグローブ村の少女が「タイレノール」を服用し死亡するという痛ましい事件が発生しました。さらに、その後7名が死亡するという深刻な事態にまで発展します。

イリノイ州での死亡事故の一報を受けたJ&J社では即座に経営会議を召集し、まだ毒物が自社のサプライチェーンから発生したものと特定されない段階から「タイレノール」の製造・販売中止と全品回収を決定します。さらに、テロに屈するなとする連邦警察の指示に反してマスコミを通じた積極的な情報公開を行い、消費者に対し「タイレノールは飲まないように」との警告を発します。新聞の一面広告、テレビ・衛星放送を使った30都市にわたる同時放送、専用フリーダイアルの設置により、この時の告知費用は1億ドルにも達したと伝えられています。

この結果、『タイレノール』のブランドイメージは大きく毀損し、J&J社も全品市場回収により実質何10億という経営的損失を被りましたが、逆に全米の消費者からはJ&J社の迅速な対応に対して称賛の声が沸き起こります。『タイレノール』やJ&J社のブランドに対する信頼感も一層高まり、事件の2ヶ月後には事件前の80%のレベルまで売上を回復するに至っています。

この事例は、未だに企業の不祥事が相次ぎ報告される中で、企業の危機管理対応のベストプラクティスとしてあまりにも有名です。

ステークホルダー・エンゲージメントを基調とする「我が信条」

驚くべきことは、1982年の「タイレノール」事件当時、J&J社に危機管理対応マニュアルは存在していなかったことです。ではなぜ、このように的確な危機管理対応を行うことができたのでしょうか。

それは、J&J社が「自社の事業活動にとって重要なステークホルダーを特定し、そのステークホルダーと共有できる価値を見出し、その価値を実現するための仕組みを整えていた」からにほかなりません。

「タイレノール」事件に遡る1943年。J&J社の3代目CEOロバート・ウッド・ジョンソンJr.は、「この文章の中に書かれている考え方が会社の経営理念である」として、A4用紙一枚の文書を取締役会で発表します。「これに賛同できない人は他社で働いてくれて構わない」とまでの強い決意で示された『我が信条(Our Credo)』は、その後、J&J社グループで働く人々をはじめとするステークホルダーの共有価値として着実に受け継がれていきました。それ故に、40年後に「タイレノール」事件が発生した時に、“自分たちは、誰のために、何をしなければならないか”を、的確に判断することができたのです。


✳︎以下の「我が信条(Our Credo)」は、J&J社より掲載の許可をいただいた上で掲載しています。

CSV(共有価値の創造)はステークホルダーとの関わりから生まれる

社是、企業理念、経営哲学、ビジョン、ミッション、行動規範、社員憲章など、企業の共有価値を示す言葉は幾つもありますが、J&J社ではそのすべてが『我が信条(Our Credo)』に集約され、確実に機能しています。

1982年の「タイレノール」事件発生時、J&Jグループの最高指導者であったジェームズ・バーク会長は、集まった経営幹部の前で壁に貼られた『我が信条』を指差し、「我々がこの『我が信条』とともにあることができなければ、今すぐにこれを壁から引き剥がそう」と全員を鼓舞したと伝えられています。

顧客、社員、地域社会、株主という4つのステークホルダーに対する責任と関わりを具体的に明示した『我が信条(Our Credo)』は、J&J社が今後いかなる危機や課題に直面しようとも、ステークホルダーとともに価値と成長を共有していくための普遍の原理として、的確な解決策を見い出し続けていくことと思われます。

自社の事業活動にとって重要なステークホルダーを見定め、そのステークホルダーと共有できる価値を見出し、その価値を実現するための仕組みを自発的に整えることのできる企業は、持続可能な社会の一員として多くの人々の信頼を勝ち取り、未来に向けて誇りある存在感を示し続けていきます。

Written by matsumura(Belongs to Just Creative)